両神山
(1999年6月)


両神山への登山口は幾つもあるそうですが、代表的なのは、日向大谷・白井差・八丁峠ルートの3つでしょうか。

このうち、白井差ルートは現在閉鎖されているので通行できません。

今回撮った写真は、その白井差ルートが閉鎖される前年の夏に撮ったものです。

今となっては、貴重な登山経験となりました。

両神山は、奥秩父山地の名峰として、けっこう有名な山なので、私ごときが語ることはそれほど無いかもしれません。

とりあえず今回は、ルート閉鎖の前年の夏に白井差ルートから登ったときのヨモヤマ話を紹介する程度に留めました。

白井差口からのアプローチでは、道中、大きな滝が幾つもあります。

水量が多いのは、夏だからでしょう。

初めのうちは、沢登りに近い状態で、なだらかな沢沿いのルートを歩きます。

こりゃ楽だ、などと思っていると、突如、山頂まで終わらない急峻な上り坂が始まります。

大まかなところ、低層部の山林地帯と、上層部の岩場に分かれるようです。

山林地帯では景観はよろしくないですが、岩場地帯まで到達すると、眺望が開けてきます。

その分、危険も増加します。

滑落すれば、怪我するか死ぬかということになるでしょう。

このクラスの山であっても油断は大敵。

自然の中では、臆病者が生き残るのです。


とある地元の人間いわく、初心者が近づいてはいけないのは「西岳」「のぞき岩」。

この2箇所は死亡事故の危険性が高いのだとか。

とはいえ、ついつい「のぞき岩」くらいは行ってみたいですよね。

のぞき岩とは、ものすごい断崖絶壁の上端です。

ここから落ちれば救助は不可能、かもしれないらしい…

めまいのするような高低差を味わえました。

右が、のぞき岩から撮った写真です。


「夏は登山のシーズン」、というテーゼはいかがなものでしょうか。。

雑草がはびこり、虫や蛇が活動し、川の水量は多く、歩けば暑さに苦しむ。

夏の山野は、悪条件だらけです。

低山徘徊や、森林歩きであれば、むしろ冬のほうが快適なくらいです。

ということで、夏がシーズンといえるのは、森林限界線以上の登山か、あるいはヨーロッパあたりの登山界の話なのではないでしょうか。


この日の両神山は、山頂に着いても、ちっとも涼しくありませんでした。


道中、神社や石像が幾つかあります。

この山はきっと、古くから住民と密接に繋がりのあった山なのでしょう。


古来、山は神聖な場所。

現代人の我々でも、せめて自然や遺跡への畏敬の念は失いたくないものです。

山に捨ててあるゴミの一つでも拾って帰れば、良い行いが思い出となって、後で気分が良いのではないでしょうか。